置いていってくれて全然構わないけど、でもたまに振り返ってくれたらいいなって思う
また夜がやってきたね
きみはいまごろベランダにでてぼうっと考え事でもしてるんだろうね
帰り道のお風呂の匂いは最高だよ
このごろ蒸し暑くなってきて、かおりがずいぶん溜まるようになった
スマートフォンでミケランジェリの人形のセレナーデを呼び出して
イヤホンしないで歩くんだ
ドビュッシーはいいよ
最近はドビュッシーばかり聴いているんだ
きみもきっとドビュッシーが好きさ、ぼくにはわかる
細い道だけど、空が広いからきみのことはよく見えるよ
星と星とはむすびつけない
ぼくには彼らの運命をしょいきれないからね
またいつの間にかぼくたちはひとまわりして、またあの夏のことを思い出す
作戦の名前はおどろくほどダサかったけど、ばかみたいに夢中だった
あの日のぼくたちは、生きてたんだろうね
大切なものは、失ってはじめて気づくんだって?
そんなの、どうかしてる
なにもかも、まだ幻想にはできないんだ
ぼくはまだあの幸せのさきっぽを求めて、求めて、求めて
いつになったらたどりつけるのか、頭のいいきみなら知ってるだろうね
ぼくのこと、笑うんだろうね
目、みせて
きみの目で世界をみたいんだ